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中小企業診断士の勉強法とその他諸々

中小企業診断士の勉強に役立つ本~経済学・経済政策編~

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2017年12月21日更新

経済学・経済政策はとっつきにくい

中小企業診断士試験はとにかく範囲が広く、幅広い知識を覚えることが要求されます。

その中でも経済学・経済政策はこれまで学んだことの無い人にとっては、対策が難しい科目かもしれません。

「限界代替率」や「需要の価格弾力性」など、言葉を見ただけでは全く意味がわからない用語だらけ。しかもグラフや数式、微積分まで活用しなくてはならないとなると、初学の人には苦しい科目ではないでしょうか。

僕は大学で経済学を学んでいたこともあり、経済学・経済政策は得意科目で前回受験時にも90点以上を獲得できました。

ただ、僕自身も大学で最初に学んだときは、意味不明でした。

暗記よりもプロセスで覚えよう

例えば完全競争市場における企業の利潤最大化条件は「価格=限界費用」となるまで生産量を拡大(縮小)することです。

ただ、これをそのまま丸暗記したところでおそらく試験では活用できないでしょう。

なぜそうなるのかというプロセスを理解することが重要です。

テキストだけでなくて書籍を活用しよう

資格の学校が出しているテキストは要点がよくまとまっている一方、詳細な解説は省かれている傾向があります。

上記の利潤最大化条件については非常に重要な論点なので解説はされているはずですが、グラフや数式だらけでわかりにくいテキストも多いように感じます。

そのような場合には、わかりやすく解説した書籍を参考にした方が理解が進みます。

今回は経済学の理解に役立つ本を紹介したいと思います。

 

 

 

初学者向けの経済学本

経済学と数学がイッキにわかる!!

 

 

経済学が苦手な人は数式やグラフが苦手なのではないでしょうか。微分積分などは高校卒業以来使ったことが無いという人も多いでしょう。

経済学のテキストでは微積分等はできるものとして記載されているものが多いですが、この本では経済学で使用する数学から学ぶことができます。

また、内容に関して著書の解説動画をYoutubeで見ることもできます。

http://free-learning.org/?page_id=1237

この一冊だけでは診断士の試験範囲をカバーできませんが、基礎的な数学から学ばなければならない方にはおススメの一冊です。非常にわかりやすいです。

 

経済学と(経済学、ビジネスに必要な)数学がイッキにわかる!!

 

世界のエリートが学ぶマクロ経済入門

 

 

この本はハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の現役教師によるテキストとのこと。数式やグラフで語られがちでわかりにくいマクロ経済学を実際の具体例を用いながらわかりやすく、本質的に解説した入門書です。

決して楽々読める本と言うつもりはありませんが、マクロ経済学の本質が理解できます。本質がわかればグラフや数式はそれを補強するだけのものなので怖くはありません。

世界のエリートが学ぶマクロ経済入門 ―ハーバード・ビジネス・スクール教授の実践講座

 

ミクロ経済学の力

 

 

 メインの対象読者を経済学部の2年生~としていることもあって、図表や実例を用いてミクロ経済学のエッセンスをわかりやすく解説しています。

特に具体的な身の回りの実例を挙げてそれがミクロ経済学とどう関わっているのかが解説されているので、理論ばかりのテキストよりも格段に理解が進むと思います。

ミクロ経済学を学ぶ入門書としては最良の本です。

ミクロ経済学の力

 

スタンフォード大学で一番人気の経済学入門

 

 

本当の初学者にはおすすめの本です。ミクロ版とマクロ版があります。グラフや数式などはあまりなく事例を基にして経済とは何かということが解説されています。

ただ内容はやや薄いです。理論的な解説は無く一般教養の範疇でしかないように感じます。体系的に理解するための本として悪くはないですが、中小企業診断士の試験対策としては不十分かもしれません。

スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編

 

経済は世界史から学べ!

 

 

通貨や金融、為替など今ある経済システムが歴史的にどのように成立してきたのかが史実を基に解説されています。直接試験に役立つかは微妙なところではありますが、経済の歴史は教養としても知っておくべきだと思うので読んでみた方がいいと思います。

やや解説は表面的なところがあるので興味が湧いた人は巻末の「読書案内」に書かれた本を読んでみるのがいいでしょう。

経済は世界史から学べ!

 

大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる

 

 

初学者向けのように見えますが、初学者がこの本を10時間読んでも理解はできないでしょう。説明が少なく突然数式やグラフが出てくるので初学者は混乱してしまうかもしれません。大学などで経済学を過去に学んでいた人が復習として利用するなら有用だと思います。

大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる

 

マンキュー入門経済学

 

 

僕が大学生の時に使用していたテキストの入門版です。日本の経済学系の大学ではよく使用されているテキストだと思います。これを理解すれば経済学の基礎は理解できます。事例も豊富で楽しみながら読めると思います。

マンキュー入門経済学 (第2版)

 

スティグリッツ入門経済学

 

 ノーベル経済学賞受賞歴のあるスティグリッツ教授の経済学入門書です。スティグリッツ教授は学者ですが公に発言することも多く、日米の経済政策にもよく意見を述べているので名前は知っている方も多いのではないでしょうか。これも大学でよく使われているのではないでしょうか。読むのは大変ですがこれで経済学・経済政策の試験範囲はすべてカバーしています。資格試験学校のテキストは解説が不十分なところがあるので、この本で勉強してもいいかもしれません。

スティグリッツ入門経済学 第4版

 

経済学は面白い学問のはず

試験対策としては経済学・経済政策は二次試験にも関りが薄いためあまり時間を掛けたく無い科目だと思います。

そのくせ、初めて学ぶ人にとっては数式やグラフが多く理解しにくい科目でもあると思います。その時には自分が理解しやすいと思った書籍を利用して勉強するのがいいと思います。

ただ、経済学の本は著者の学派や思想によって書いている内容が偏っていたり、一般的な経済学の理論を否定して著者の独自理論を記載しているものもあります。

なので基本的には資格学校等の中小企業診断士試験用テキストで勉強をしながら、上記のような書籍を参考にしていくのが良いのではないでしょうか。

経済学・経済政策の基礎は学ぶべき学問

試験対策を別としても経済学・経済政策は学ぶべき学問だと思っています。

為替がどのように変動するか、経済統計から今後の日本がどうなっていくと予想されるのか、中国・アメリカ・EU・新興国等々世界経済はどうなっていくのか、そのようなことはビジネスをする上で自分なりの仮説を持ってないといけません。

診断士となれば経営層を相手に話をすることになります。その時に経済状況も理解していない、話もできない診断士が信頼されるでしょうか。企業のトップと話をするなら最低限、経済政策についての意見くらい語れないといけないと思います。

学問としての経済学は実社会では全く使えないとの意見もありますが、僕はそうは思いません。すべての経済活動の基礎がここにあるのです。

答えが無い学問でもあるので学べば学ぶほど面白くなってきますし、今まで理解できなかった経済ニュースも興味を持って見られるようになると思います。

みなさんも経済学が嫌いにならないように、できるだけ楽しんで学べる方法を見つけて下さい。