Knowledge Box

中小企業診断士の勉強法とその他諸々

【直前期必見】2016年度版中小企業白書のエッセンスをまとめてみる~第2部編②~

f:id:hardstudyman:20170710230446j:plain

第2部編の2回目。

今回は第2部第3章についてまとめてみます。

最初2回に分けてまとめると言いましたが、とても2回ではまとまらないので、もう何回かに分けて書きます。

 

第3章 中小企業における海外需要の取り込み

中小企業の海外展開投資の効果と実態

「中小企業の成長と投資行動に関するアンケート調査」によると、海外展開投資の高架として「売上の拡大」次いで「海外の新市場・顧客の開拓」の効果を実感している企業が多い。

海外展開投資による労働生産性の推移

・輸出と労働生産性の関係を見るとリーマンショックの影響がある2009年を除き、輸出実施企業の労働生産性が輸出非実施企業の労働生産性を上回っている。

 ・直接投資と労働生産性の関係も同様に輸出実施企業のほうが高水準。

→海外展開投資と労働生産性には相関関係があるものと推測される。

 

海外展開投資と国内従事者数の関係

海外展開投資は「輸出」「直接投資(生産拠点)」「直接投資(販売・サービス拠点)」「インバウンド対応による効果」の4つに分類されていますが、いずれの場合においても国内従業者数が「減少した」と回答した企業よりも「増加した」と回答した企業の割合が上回っています。

f:id:hardstudyman:20170715174645j:plain

出典:中小企業庁 『2016年度中小企業白書第2部第3章』より引用

→海外展開投資は必ずしも国内雇用の空洞化を招くものではなく、むしろ増加させる。

 

中小企業の海外展開の実態

ここでは中小企業の「輸出」「直接投資」「インバウンド対応」について確認します。

中小企業における輸出の実態

日本の中小製造業における直接輸出企業数は長期的には増加傾向であるものの、全体に占める割合は中小製造業全体のわずか3.5%に留まっています。

業種別にみると、製造業中分類24業種のうち上位5業種(生産用機械器具、化学工業、電気機械器具、金属製品、業務用機械器具)で半数を占め、生産用機械器具製造業がもっとも輸出企業数が多い。

規模別にみると従業員規模が大きい企業ほど輸出を行っている企業の割合が多い

 

中小企業における海外直接投資の実態

2009年から2014年にかけて中小企業の海外直接投資は増加している。また製造業だけでなく、様々な業種の中小企業が海外直接投資を開始しています。

f:id:hardstudyman:20170715181347j:plain

出典:中小企業庁 『2016年度中小企業白書第2部第3章』より引用

また、海外子会社を有する企業の割合の推移は、大企業と同様に中小企業全体としても増加傾向であり、13年度は中小企業(製造業)が20.8%、中小企業全体で14.6%となっています。

海外子会社を有する企業の業種構成は大企業、中小企業ともに「製造業」が一番割合が多いですが、その割合は年々減少傾向です。

→人口減少による内需縮小の中、卸売業、情報通信業、サービス業などが次第に海外進出している。

 

海外現地法人の国・地域構成

 2011年頃から企業規模問わず、中国へ直接投資を行う企業が減少に転じ、他方ASEANを始めとしたアジア諸国の割合が大きく増加している。

→中国からアジア諸国ヘシフト

中小企業におけるインバウンド対応の実態

訪日外国人の増加によりこれまで海外需要の恩恵が小さかった製造業以外の業種でも、インバウンド対応によって海外需要を取り込めるようになってきている。

 インバウンド対応を行っている中小企業は全体では3.9%です。業種別ではサービス業では7.5%、小売業6.1%と全体よりも高くなっている。

企業規模別では20人以下の企業に比べて21人以上の企業のほうがインバウンド対応を行っている企業の割合が高くなっている。

 

海外展開投資に係る課題と高収益企業の取組

海外展開投資を行わない理由

海外展開投資未実施企業が投資を行わない理由は「国際業務の知識・情報・ノウハウがない」(50.5)が最も多い。

輸出における課題は「現地パートナー企業・商社等の確保」(42.5%)が最も多い。

直接投資(生産拠点)における課題は「外国人人材の確保・労務管理(52.6%)が最も多い。

直接投資(販売・サービス拠点)における課題は「現地法制度・商習慣への対応」(57.5%)が最も多い。

インバウンド対応における課題は「販売先・訪日外国人の確保」(29.2%)が最も多い。

 

海外展開人材確保・育成の取組

海外展開投資を行っている企業も海外展開に必要な人材の確保・育成は十分に行われていない。

理由は「人材育成のノウハウがない」「業務多忙により教育する時間がない」といったもの。

外国人人材を活用することと売上高、売上高経常利益率との間には相関関係があると考えられるため、海外需要を取り込むためには、これらの人材を獲得し活用していくことが期待される。

 

 

長くなったので今回はこの辺で。

 ←第2部編①